シリーズ:「既存不適格」の基礎知識と見つけ方

建築基準法

【第2回】既存不適格の見つけ方(その1)~法改正の履歴を知る~

はじめに

前回の記事で「既存不適格」の意味がわかっても、「じゃあ、自分の建物のどこが既存不適格なのか、どうやって見つけるの?」と疑問に思われますよね。

既存不適格を見つけるためには、「建物をよく見る」だけではなく、まずは「法改正の履歴を知る」ことからも重要になってきます。

今回は「法改正の履歴」をご紹介したいと思います。

まずは「法改正履歴」を知ろう!

建築基準法がいつ制定され、どのように変わってきたのか。

その大きな流れを知っておくことが、既存不適格を見つけるための強力な武器になります。

ここでは、よく既存不適格になる項目や法適合状況の確認に大きく影響しそうな、主な法改正の履歴を年代別にご紹介します。(※構造に関する細かい規定は今回は省略しています)

改正年              改正内容
1950年(昭和25年)建築基準法の制定
1969年(昭和44年)竪穴区画、重複距離等の新設
1974年(昭和46年)排煙設備、非常用照明、非常用の進入口等の新設
容積率、北側斜線制限、建築計画概要書の導入
1975年(昭和49年)特殊建築物以外での2以上の直通階段等の新設
1977年(昭和52年)日影規制の新設
1981年(昭和56年)新耐震基準の整備
1984年(昭和59年)4号特例の創設
1987年(昭和62年)特定道路からの距離による容積率緩和、道路斜線制限等のセットバック緩和
駐車場の床面積の容積対象床面積からの控除
1993年(平成3年)新用途地域、準耐火建築物等の整備
1994年(平成6年)住宅の地階の容積率緩和
1997年(平成9年)共同住宅の共用部分の容積対象床面積からの控除
1999年(平成11年)指定確認検査機関による確認および検査、中間検査、計画変更手続きの導入
43条ただし書き許可、木三共の新設
2000年(平成12年)採光規定の見直し(採光斜線から採光補正係数へ) / 階段手すりの設置
避難安全検証法の創設、各種規定の性能規定化
2003年(平成15年)シックハウス、天空率の新設
2005年(平成17年)防火シャッターの危害防止装置の設置義務化
2007年(平成19年)構造計算適合性判定の義務化
2009年(平成21年)昇降機の安全装置規定等の整備(戸開走行防止、地震時管制運転)
2012年(平成24年)防災倉庫等の容積対象床面積からの控除
2013年(平成25年)給湯器転倒防止の義務化
2014年(平成26年)EV昇降路の容積対象床面積からの控除
2018年(平成30年)宅配ボックス、老人ホームの共用廊下等の容積対象床面積からの控除
2019年(平成31年)特殊建築物の定義の変更(床面積200㎡超)
2025年(令和7年)4号特例の廃止

調査対象の建物が「いつ」確認申請を下ろしたのかが分かれば、上記の年表と照らし合わせることで「どの法律を満たしていない可能性があるか」のアタリをつけることができます。

特に、昭和44年、昭和46年、平成12年の改正については、頻出条文が目白押しです。

ひとまず「昭和44年、昭和46年、平成12年」だけでも覚えておくと、計画内容に影響の大きい既存不適格を見つけやすくなると思います。

まとめ

このように、法改正の概略や流れを知っておくことが非常に大切です。

いきなり、全部の法改正を細かく把握しようとせず、まずは、大きな流れを把握して、ポイントとなる改正年を押さえておく、ことをおススメします。

昭和~平成にかけては、避難や防火規定、集団規定について新たな規制等が設けられる改正が多く、既存不適格になる可能性が高い規定がいくつかあります。

一方で、平成~令和にかけては、性能規定化や規制の合理化等の改正が多く、一部を除き、既存不適格になりそうな規定はあまり多くありません。

まずは「昭和44年、昭和46年、平成12年」は要注意として覚えておくといいですね!

既存不適格に関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。https://www.imknot.co.jp/contact.html

【次回】 これらを踏まえた「実物件の調査」について解説します。

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