シリーズ「こうちゃうかな、知らんけど」

建築基準法

空きテナントを飲食店に用途変更。確認申請が不要でも、何もしなくていい?

はじめに

先日、こんな相談を受けました。

「事務所として使っていたテナントを飲食店として使いたいのですが、床面積が180㎡なので確認申請は不要と聞きました。では特に何も手続きはいらないということですか?」

この質問、非常に多いです。そして答えはノーです。

「確認申請が不要」と「何もしなくていい」は全く別の話です。この誤解が、用途変更後に思わぬトラブルを招くことがあります。

「用途変更の確認申請が不要」、意味を正しく理解する

まず「確認申請が不要」という言葉の意味を正確に整理します。

飲食店は建築基準法上の特殊建築物に該当します。特殊建築物への用途変更で確認申請が必要になるのは、床面積が200㎡を超える場合です。180㎡であれば、確認申請という「手続き」は不要です。

しかしここで注意が必要です。

不要になるのはあくまで確認申請という手続きだけです。用途を飲食店に変更した事実は変わりません。変更後の用途である飲食店に対して適用される建築基準法上の規定は、確認申請の有無にかかわらず適用されます。

「手続きが不要」と「法律に適合しなくていい」は全く別の話です。この区別をまず押さえておいてください。

適法に維持管理する義務は続く

建築基準法には、建築物を適法な状態で維持管理する義務が定められています。用途変更をした後も、この義務は変わりません。

飲食店への用途変更をした場合、飲食店用途として求められる建築基準法上の規定への適合が必要です。確認が必要な項目を整理します。

改修部分について

まず工事を行った改修部分については、飲食店用途に応じた規定への適合を確認する必要があります。具体的には以下の点が挙げられます。

火気を使用する厨房周りの内装材料については内装制限の規定が適用されます。壁や天井に使用できる材料が制限されており、改修の際に適切な材料を選定しているかを確認する必要があります。

また、客席から厨房・出入口に至る避難経路や避難設備が適切に確保されているかも確認が必要です。不特定多数の人が利用する飲食店では、避難上の安全確保が特に重要になります。(避難規定等が適用される規模、用途をぜんていとしています)

改修部分以外の既存部分について

工事を行っていない既存部分についても確認が必要です。変更前から存在する建物の部分が、飲食店用途に変更した場合であっても建築基準法に適合しているかどうかを確認する必要があります。

確認申請がある場合は、審査機関がこれらの法規適合をチェックしてくれます。しかし申請不要の場合はそのチェックが入りません。だからこそ、自分たちで適合性を確認することが重要になるのです。「申請不要だからこそ」自主的な法規チェックが必要

「用途変更の申請不要だからこそ」自主的な法規チェックが必要

ここまでの内容を整理すると、確認申請が不要な用途変更では以下の確認が必要になります。

改修部分が変更後の用途である飲食店に求められる規定に適合しているかどうか。既存部分が飲食店用途においても現行法規に適合しているかどうか。

これらをすべて自分たちで確認する必要があります。

確認申請がある場合は審査機関がチェックしてくれるため、不備があれば指摘を受けることができます。しかし確認申請が不要な場合はそのチェックが入りません。問題があっても誰も指摘してくれないまま営業を開始することになります。

「申請不要だから楽」ではなく、「申請不要だからこそ自主的な確認が必要」というのが実態です。

このような自主的な法規チェックは、建築基準法の専門的な知識が必要になります。見落としがあると、後から是正を求められるリスクもあります。確認申請が不要な用途変更だからこそ、計画の早い段階で専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

今回のポイントを整理します。

用途変更の確認申請が不要でも、建築基準法への適合確認義務はなくなりません。飲食店用途に応じた改修部分・既存部分の適合性確認と、既存不適格の遡及有無の確認が必要です。確認申請がない分、自主的な法規チェックがより重要になります。

「申請不要=何もしなくていい」という誤解が、用途変更後のトラブルにつながることがあります。計画の初期段階で専門家に相談することが、最も確実なリスク回避の方法です。

用途変更の法規チェックは、専門家にご相談ください。

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